香川県高松市鬼無町にある医療法人財団博仁会キナシ大林病院のホームページです。

透析とは

透析とは

CKD(慢性腎臓病)の末期症状(ステージ5の状態)では、血液のろ過が十分に行えず、水分や老廃物のコントロールが出来なくなってしまいます。その場合に低下した腎機能の代わりの役割を果たすのが透析療法です。

腎臓とは

背中側の腰の高さに背骨を挟んで左右に1個ずつあり、大きさは握りこぶし大です。血液中の老廃物を取り出して尿を作るなど、体のろ過装置ともいえる臓器です。
また、ろ過するだけでなく、ホルモンを出して全身に作用させるという役割も持っています。

腎臓の働き

  1. 身体の中を弱アルカリ性に保つ(血液の中の老廃物を排泄し、食欲不振や体調を解消する)
  2. 食べ過ぎた塩を捨てる(血液中の水分や塩分のバランスを一定に保つ)
  3. 骨を強くする(ビタミンDを活性化し、カルシウムを吸収して骨を丈夫にする)
  4. 動脈硬化の予防(血圧を適切にコントロールする)
  5. 貧血を防ぐ(造血ホルモンを分泌し、赤血球を増やす)
  6. 老化を防ぐ(抗老化ホルモン[Klotho蛋白]を分泌し、寿命を延ばす)

腎不全とは

腎臓の機能が低下することにより、正常に腎臓が働かなくなってしまう状態です。
症状としては夜間尿量の増加やむくみ、高血圧、疲労・倦怠感、意識障害、貧血、食欲不振・吐き気などが現れてきます。自覚症状に気づく前に悪くなっていることもあり、沈黙の臓器と呼ばれるのもこのためです。
また、急性腎不全と慢性腎不全があり、慢性の場合、数か月から数十年をかけて徐々に腎機能が低下してしまうと、腎機能の回復は見込めないため、腎移植や透析などの治療が必要になります。

透析療法について

血液を体内から取り出し、人工腎臓(ダイアライザー)を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻す方法です。
※この場合、血液を体外に取り出すために、バスキュラーアクセス(シャント)の手術が必要です。

血液透析とは

血液を体内から取り出し人工腎臓(ダイアライザー)を通して、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き浄化された血液を体内に戻す方法です。
血液を体外に取り出すために腕の静脈と動脈を繋ぎ合わせる手術が必要です。

血液透析

透析治療の時間について

透析は週3回、1回4時間程度です。2013年日本透析医学会の「維持透析ガイドライン:血液透析処方」でも、透析時間は1回あたり4時間以上行うことが推奨されています。
しかし、健康な腎臓は1日24時間をひと時も休まずに働いています。そのため最近では、健康な腎臓の機能により近づけるために、透析時間を長くしたり、透析の回数を増やしたりする透析方法が注目されています。
透析時間を長くすることのメリットは、4時間透析より比較的緩やかにより多くの尿毒素や余分な水分の除去ができるため、合併症(高血圧、動脈硬化等)の減少や貧血の改善、栄養状態の改善効果などが期待できることです。
現在当院でも5時間以上の血液透析を推奨しています。ご自身やご家族の生活に合った透析時間を調節して、血液透析とうまく付き合っていきましょう。

バスキュラーアクセスについて

血液透析では、150〜300mL /分 の血液を人工腎臓(ダイアライザー)に循環させることが必要です。そのため、血液を体外に取り出しやすくするように、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせる手術が必要です。(バスキュラーアクセス) 上肢には静脈と動脈が流れていますが、静脈は50mL/分 程度の血流しか流れおらず透析治療を行うために必要な血流を確保することができません。
一方、動脈は十分な血流を取ることでできますが、皮膚表面から深いところにあることから止血困難な状態や神経損傷など合併症のリスクが高くなります。これらを解決するために静脈と動脈を繋いだバスキュラーアクセス(シャント)の作成が大切になります。
当院では、下記の方法で血液透析を行っています。

  • ① 自己血管内シャント(一般的な内シャント)
  • ② 人工血管内シャント(グラフトとも呼ばれています)
  • ③ 透析用カテーテル留置(Wルーメン・長期留置型カテーテル)
    ※当院では、①が適用外の場合に②・③を選択します。
シャント

シャントPTAについて

シャント閉塞・狭窄でお困りではありませんか?透析シャントは、時に閉塞や狭窄することがあります。

経皮的血管形成術(PTA)とは?

血流を確保するため、血管内にバルーンカテーテルを挿入し閉塞や狭窄した箇所でバルーンを拡張させ、内側から血管を拡げる方法です。
手術の際は、X線投資と超音波を用いて位置を確認しながら行います。
当院では、シャント作成後シャント管理を行い問題があれば、早期にPTAなどの血管内治療を行っています。

当院では、~超純粋透析液を使用したオンラインHDF(血液濾過透析)を行っています~

HDFは、通常透析と血液ろ過を合わせた治療法で、腎臓の役目をする透析膜も高性能膜を併用することが可能になり、より多くの老廃物の除去が可能な治療法です。

日機装社製 DCS-100NX
ニプロ社製 NCV-3
HDFの利点
  • 食欲の増進 体の内部環境の改善により食欲が出てきます。
  • 日常生活での血圧安定 降圧剤を減量できる場合もあります。
  • 治療中の血圧安定 補充液を6ℓ/時間~12ℓ/時間補充しながら治療するため、透析中の血圧の低下が起きにくくなります。
  • 貧血の改善 造血剤を減量できる場合もあります。
  • 通常透析では取り切れない老廃物の除去 B2クログロブリン等の透析アミロイドーシスの原因になる物質の除去やその他の小分子蛋白の除去により、合併症の予防になります。
  • 心臓への負担の軽減 補充液を注入しながらの治療で、循環血液量の減少予防になり、血圧の低い方に有効と言われています。
  • 排尿機能の延長 など

以上のような利点があります。

腹膜透析とは

腹部に細いカテーテルを植え込み、お腹の中に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を通して血液中の老廃物や水分が透析液に移動し、十分に移動した時点で、体外に取り出すことにより血液をきれいにする透析です。
寝ている間に機械を使って自動的に行う方法(APD)と、日中に3~4回透析バッグを交換する方法(CAPD)があります。
時間をかけてゆっくり行う治療法で、身体の状態が安定している優しい治療法です。透析液の交換以外は、今まで通りの生活を続ける事ができ、食事では保存期や血液透析に比べてゆとりがあります。また、在宅で行う透析療法なので通院は月に1~2回程度です。
当院では、1981年より開始しました。腹膜透析についてのご相談は、いつでも透析スタッフにお声がけください。

腹膜透析のしくみ